転職口コミが採用を止めるのではない。
人事担当者・経営者が本当に恐れるべき「転職クチコミ削除しなきゃ病」とは
転職口コミサイトに、突然★1の口コミが投稿された。
「ブラック企業だった。」
「残業ばかりだった。」
「おすすめできない。」
その瞬間、多くの経営者や人事担当者の頭に浮かぶ言葉があります。
「消さなければ。」
その反応は決して間違いではありません。採用活動に関わる立場であれば、自社の評判を守りたいと思うのは当然です。
しかし、私は15年以上にわたり、風評被害や口コミ対策のご相談を受ける中で、一つの共通点に気付きました。
採用が苦しくなる会社は、悪い口コミがある会社ではありません。
悪い口コミに意識を奪われ、本来やるべき採用活動を止めてしまった会社なのです。
私はこの状態を、「転職クチコミ削除しなきゃ病」と呼んでいます。
削除だけに集中すると、採用活動が止まる
転職口コミサイトに悪評が投稿されると、多くの企業は削除方法を調べ始めます。
弁護士へ相談する。
削除申請を行う。
口コミサイトへ問い合わせる。
もちろん、それ自体は間違った行動ではありません。
問題は、その後です。
削除できるかどうかだけを気にするあまり、採用サイトの更新が止まる。
社員インタビューも掲載されない。
SNSで会社の雰囲気を伝える発信もなくなる。
求人票も何年も同じ内容のまま。
採用動画も古いまま放置される。
気付けば、求職者が見る情報のほとんどが、数年前の情報と悪い口コミだけになってしまいます。
これでは、口コミが採用を止めたのではありません。
企業自身が、自社の魅力を伝えることを止めてしまったのです。
求職者は口コミだけを見ているわけではない
今の求職者は、とても多くの情報を比較しています。
転職口コミ。
企業ホームページ。
採用ページ。
Googleの口コミ。
SNS。
YouTube。
そして最近では、生成AIで会社名を調べる人も増えています。
つまり、一つの口コミだけで入社を決める人はほとんどいません。
反対に、「悪い口コミはあるけれど、会社として誠実に情報発信を続けている」と感じれば、不安は大きく和らぎます。
社員の表情が伝わる。
代表の考え方が分かる。
働く環境が具体的に見える。
こうした情報が積み重なれば、一件の口コミだけで会社全体を判断されることは少なくなります。
だからこそ、本当に必要なのは口コミを消すことだけではありません。
口コミを上回る信頼を積み重ねることです。
削除は「手段」であって「目的」ではない
削除できる口コミは、適切に対応すべきです。
事実と異なる内容や権利侵害にあたる投稿であれば、専門家へ相談することも重要です。
しかし、削除できるかどうかは企業だけでは決められません。
口コミサイトの判断や法的な手続きなど、自社ではコントロールできない要素が数多くあります。
一方で、自社の採用ブランドを育てることは、今日から始められます。
採用ページを見直す。
社員の声を紹介する。
福利厚生を分かりやすく伝える。
社内イベントを発信する。
代表が会社の理念を語る。
求職者が安心できる情報を増やす。
これらはすべて、自社でコントロールできる取り組みです。
だから私は、「削除を待つ」のではなく、「削除と採用ブランディングを同時に進める」ことが重要だと考えています。
AI時代は「情報量」が企業の信用になる
これからは検索だけではありません。
生成AIが企業について説明する時代になりました。
AIは、インターネット上に存在するさまざまな情報を参考に回答を作ります。
つまり、企業が何も発信していなければ、AIが参考にできる情報も限られてしまいます。
逆に、採用情報、社員紹介、会社の理念、社会貢献活動など、信頼できる情報が豊富に公開されていれば、それらも企業を評価する材料になります。
これからの採用では、「悪い口コミを消すこと」以上に、「良い情報を増やすこと」の重要性が高まっていくでしょう。
今日から始められること
もし今、転職口コミに悩んでいるのであれば、自分自身に問いかけてみてください。
「私は、削除だけに時間を使っていないだろうか。」
もし答えが「はい」であれば、それは珍しいことではありません。
多くの経営者や人事担当者が同じように悩みます。
だからこそ、今日から一つだけ行動を変えてみてください。
採用ページを更新する。
社員紹介を掲載する。
会社の日常を発信する。
応募者が安心できる情報を一つ増やす。
その積み重ねは、一件の口コミよりも、はるかに大きな信頼を生み出します。
まとめ
転職口コミが採用を止めるのではありません。
本当に採用を止めてしまうのは、「削除できるかどうか」という一点に意識を奪われ、採用ブランディングそのものが止まってしまうことです。
削除できるものは適切に対応する。
しかし、それだけで終わらせない。
求職者が安心できる情報を発信し続ける。
社員の魅力を伝え続ける。
企業の理念を届け続ける。
その積み重ねこそが、長期的に採用され続ける会社をつくります。
悪い口コミを追いかけ続けるよりも、選ばれる理由を増やしていく。
それが、これからの採用戦略であり、「転職クチコミ削除しなきゃ病」から抜け出すための最も現実的な方法だと私は考えています。


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