転職クチコミが削除できないなら、採用広報そのものを見直すべきだと思っています
転職クチコミについて相談を受けると、多くの企業様が最初に考えるのは「削除できないか」ということです。
気持ちはよく分かります。
会社について厳しいことを書かれている。
内容に納得できない。
昔の話が残っている。
現在は改善しているのに、そのことは誰にも伝わっていない。
こうした状態であれば、経営者や採用担当者が「まず消したい」と考えるのは自然だと思っています。
しかし私は、転職クチコミが削除できないと分かったときこそ、少し違う視点を持った方がよいと考えています。
それは、
「なぜ、このクチコミだけが強く見えてしまうのか」
という視点です。
クチコミが存在していることだけが問題なのではありません。
企業側から発信されている情報が弱く、求職者が判断できる材料が少ないことによって、一つのネガティブなクチコミが必要以上に大きく見えている場合があります。
私はここに、採用広報の問題が隠れていることがあると思っています。
転職クチコミが削除できず、採用への影響や企業の見え方に悩んでいる場合は、検索・SNS・AIまで含めたレピュテーション対策の考え方も参考にしてください。

削除できないから終わりではありません。
むしろ、そこから企業が何を伝えるかが重要だと思っています。
求職者は「会社が言いたいこと」より「会社について分かること」を見ています
採用ページを見ると、多くの企業が似たような言葉を使っています。
「社員を大切にしています」
「風通しの良い職場です」
「成長できる環境です」
「アットホームな会社です」
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
実際にそういう会社もあると思います。
ただ、求職者からすると、それだけでは会社の実態が分かりません。
一方で、転職クチコミには具体的な内容が書かれています。
「評価制度が分かりにくかった」
「上司によって対応が違った」
「部署によって残業時間に差があった」
「入社前に聞いていた仕事内容と違った」
こうした内容は、良い悪いに関係なく具体的です。
そして、人は具体的な情報を信用しやすい傾向があります。
企業側の採用ページが抽象的で、クチコミだけが具体的であれば、当然クチコミの存在感は強くなります。
私は、ここを見直す必要があると思っています。
転職クチコミ対策というと、ネガティブ情報をどうするかという話になりがちです。
しかし、本当は、
「自社について、求職者が判断できる具体的な情報をどれだけ出せているか」
という問題でもあります。
「うちは良い会社です」と言うだけでは伝わりません
企業側は、自分たちの会社をよく知っています。
どんな社員がいるのか。
どんな制度があるのか。
どんな苦労をしてきたのか。
どう改善してきたのか。
どんな人に向いている会社なのか。
どんな人には合わない会社なのか。
こうしたことを日常的に理解しています。
しかし、求職者には分かりません。
ここに大きな情報格差があります。
企業側は「知っていて当然」と思っていることでも、外部の人は知りません。
私は、「知らないだけで損をする人を減らしたい」という考えを大切にしていますが、これは採用にも当てはまると思っています。
企業側が情報を出さなければ、求職者は分からないまま判断します。
そして、その空白を埋める情報が転職クチコミになることがあります。
だからこそ、採用広報では「良いことを書く」よりも、「判断できる情報を書く」ことが重要です。
たとえば、
残業時間の実態。
有給取得の考え方。
評価制度の仕組み。
昇給の基準。
教育制度。
管理職との距離感。
社員の年齢構成。
離職についてどう考えているか。
過去に改善したこと。
今も課題として残っていること。
ここまで出している会社は多くありません。
しかし私は、こうした具体性こそ信頼につながると思っています。
悪いクチコミを消すより「会社との相性」を伝える方が採用は安定します
私は、企業がすべての人から高評価を得る必要はないと思っています。
会社には相性があります。
スピード感のある会社が合う人もいます。
落ち着いた環境を好む人もいます。
裁量が大きい方がいい人もいれば、明確な指示がある方が働きやすい人もいます。
成果主義を好む人もいれば、安定を求める人もいます。
すべての人にとって理想的な会社になることは現実的ではありません。
むしろ、
「こういう人には合います」
「こういう人には合わないかもしれません」
と伝えた方が、私は誠実だと思っています。
採用で大切なのは、応募者を最大化することだけではありません。
入社した後に、
「思っていた会社と違った」
というミスマッチを減らすことも重要です。
ミスマッチが減れば、退職も減ります。
退職が減れば、ネガティブな転職クチコミが増える原因も減る可能性があります。
つまり、転職クチコミ対策は、採用後の定着まで含めて考える必要があります。
これは表面的な削除よりも、はるかに根本的な対策だと思っています。
転職クチコミが増え続ける会社は、発信だけでは解決しません
ただし、ここで誤解してほしくないことがあります。
私は「採用広報を強くすれば、悪いクチコミは気にしなくていい」と言っているわけではありません。
もし同じ不満が何度も書かれているのであれば、社内の確認が必要です。
「上司の対応が悪い」
という投稿が一件なら、個別の関係性の問題かもしれません。
しかし何人も同じことを書いているなら、管理職教育に課題があるかもしれません。
「評価基準が分からない」
という声が複数あるなら、評価制度そのものではなく、説明方法に問題がある可能性もあります。
「求人内容と実態が違う」
という内容が繰り返されるなら、採用時の説明を見直す必要があります。
私は、問題を表面的に処理するだけでは、本当の解決にはならないと思っています。
情報発信で隠すのではありません。
実態を改善し、その改善した実態を正しく発信する。
この順番が大切です。
企業の信用を守るための仕事で、企業の実態を誤魔化してはいけません。
削除できないクチコミに反論したくなるときほど冷静さが必要です
転職クチコミを見ていると、経営者が感情的になることがあります。
それも当然です。
自分が何年もかけてつくってきた会社について、一方的なことを書かれれば腹が立つと思います。
「そんな事実はない」
「本人にも問題があった」
「会社側の事情も知らないのに」
と言いたくなることもあるでしょう。
しかし私は、ここで感情のまま動かないことが重要だと思っています。
強い反論を出す。
SNSで投稿者を批判する。
退職者を敵として扱う。
こうした対応によって、別の問題が生まれることがあります。
経営者自身が整っていなければ、正しい判断はできません。
私は、誰かを支えるためにも、会社を守るためにも、まず自分自身が冷静であることが大切だと思っています。
クチコミを見つけたら、
「これは事実でしょうか」
「改善すべきことはありますか」
「現在と違うのであれば、何を伝えればよいでしょうか」
と分けて考える。
私はその方が、長期的には企業を守ると思っています。
採用広報は、検索だけではなくSNSとAIまで広がっています
もう一つ、今後さらに重要になることがあります。
それは、求職者が企業を調べる場所が増えていることです。
以前は、Google検索と転職クチコミサイトを見て判断する人が中心でした。
しかし現在はSNSがあります。
会社名をXで検索する人もいます。
InstagramやTikTokで職場の雰囲気を見る人もいます。
経営者のSNSを見る人もいます。
そして、生成AIもあります。
今後、
「○○株式会社への転職を考えています。評判をまとめてください」
とAIに聞くことは、さらに一般的になると思っています。
ここで考えなければならないのは、転職クチコミサイトだけではありません。
検索。
SNS。
AI。
この三つがつながった状態で、会社の印象が作られていきます。
だから私は、逆SEOだけの時代ではなくなっていると考えています。
逆SEOで検索結果を見る。
逆SNS®でSNS上の情報環境を見る。
逆AIO®でAIが参照する可能性のある情報構造まで考える。
この三つを横断して見る必要があります。
転職クチコミが削除できない場合も同じです。
その投稿を一点だけで見るのではなく、
「インターネット全体で、自社についてどんな情報が見えているのか」
を見る必要があります。
検索・SNS・AIを横断したレピュテーションリスク対策については、こちらでも詳しくご案内しています。

私は、情報操作をしたいわけではありません。
正しい情報が不足しているなら、正しい情報を増やす。
古い情報だけが目立っているなら、現在の情報を届ける。
会社が改善したなら、その事実を伝える。
その積み重ねによって、企業の全体像が理解される環境をつくることが大切だと思っています。
転職クチコミ対策は「採用マーケティング」だけでもありません
ここまで読むと、
「では採用広報を強化すればいいのですね」
と思うかもしれません。
しかし私は、それだけでも足りないと思っています。
採用マーケティングだけにすると、どうしても「応募者を増やすこと」が目的になります。
私は、その前に信頼が必要だと思っています。
応募者に良く見せることではありません。
実際の会社を正しく理解してもらうことです。
良いところだけではなく、現実的な部分も伝える。
会社として大切にしていることを伝える。
できていることと、まだ改善途中のことを分けて伝える。
この誠実さが、結果として会社に合う人を集めると思っています。
私は、短期的に応募数が増えることよりも、長く働いてくれる人との出会いの方が重要だと思っています。
経営も同じです。
数字だけを追えば、無理が出ます。
採用数だけを追えば、ミスマッチが増えます。
短期的な数字よりも、継続可能な関係をつくる。
私は、その方が企業にとっても社員にとっても安心につながると思っています。
削除できない転職クチコミは、企業が変わるきっかけにもなります
私は、ネガティブなクチコミを歓迎する必要はないと思っています。
書かれればつらいです。
事実と違うこともあります。
しかし、すべてを敵として見る必要もありません。
クチコミをきっかけに、
採用ページを見直す。
評価制度を見直す。
社内コミュニケーションを見直す。
管理職教育を見直す。
退職者との向き合い方を見直す。
企業の情報発信を見直す。
こうした改善につながるのであれば、その経験は会社を強くすることもあります。
私は、問題を無かったことにするより、問題から何を学ぶかの方が重要だと思っています。
完璧な会社をつくる必要はありません。
問題が起きない会社を目指しすぎると、経営者自身が疲弊します。
大切なのは、問題が起きたときに、誠実に向き合える会社であることです。
転職クチコミが削除できないなら「何を消すか」ではなく「何を伝えるか」を考えてください
もし今、転職クチコミが削除できず悩んでいるのであれば、一度問いを変えてみてください。
「どうすれば消せるでしょうか」
だけではなく、
「求職者は、今の会社について何を知ることができるでしょうか」
と考えてみてください。
現在の職場環境は伝わっていますか。
過去から改善したことは伝わっていますか。
経営者の考えは伝わっていますか。
社員がどのように働いているか分かりますか。
会社に合う人、合わない人が分かる情報はありますか。
これらが不足しているなら、まずそこを整える価値があります。
過去のクチコミを消せなくても、現在の会社の情報は増やせます。
未来の求職者に、より多くの判断材料を提供できます。
私は、それが企業にも求職者にも誠実な採用だと思っています。
転職クチコミの削除が難しい、採用への影響が不安、検索やSNS、AI上での企業評価を見直したいという場合は、こちらも参考にしてください。

削除できないことは、何もできないことではありません。
そして、クチコミを見えにくくすることだけが企業を守る方法でもありません。
社内を整える。
情報を整える。
経営者自身も整える。
そして、本当に伝えるべき現在の会社の姿を、誠実に発信する。
私は、その積み重ねが最終的には採用にも、会社の信用にもつながると思っています。
転職クチコミは、ときに企業にとって厳しい鏡になります。
だからこそ、鏡を壊すことだけを考えるのではなく、そこに映っているものを確認し、必要なところを整えることが大切です。
その方が、会社は長く強くなると私は思っています。



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